臆病さえ やさしさだと見誤った私がいて

臆病さえ やさしさだと見誤った私がいて 
あなたのせいにしたけれど 臆病者はこの私
〜タイトル『春が来る』下田逸郎
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今日はとても暖かい、という谷川俊太郎さんの詩を引用した手紙をもらった
ことがある。それは私が高校生のときに読んで薦めた角川文庫版。当時読み
漁った詩は、ランボーボードレールよりも中原中也立原道造に惹かれ、
生きている詩人では谷川俊太郎さんだった。
長野の乗鞍の喫茶店で出逢って1年が過ぎていた、19の春。
永島慎二漫画家残酷物語中原中也の話で意気投合。浅川マキの唄が大好
きで、彼女の部屋にポスターを模写した手書きの絵が飾ってあった。

ホワイトシチューを食べると彼女を思い出す。
手紙をもらって逢いに行った日に出された夕食。
交友関係が広いにも関わらず、鏡の向こう側でひとりに耐えられず、しき
りに誘っていたことに臆病者の私は気づかないフリをした。

最後に別れた二十歳の日、彼女の新しい男の前でも、なんにも気づかない
フリをして、永島慎二の本を残していった。